ICOによる資金調達と詐欺被害
ICOとは、「Initial Coin Offering(イニシャルコインオファリング)」の略で、流行している仮想通貨を新規発行させることです。
昨今は仮想通貨ブームに加えて、一からブロックチェーンなどの暗号を開発しなくても、既存のプラットフォームで手軽に仮想通貨を発行できるように変わってきました。
一部の企業では資金調達でICOを活用しているケースがあります。
しかし詐欺被害も多く、投資家は信頼性のない会社が行うICOには冷ややかな対応をしています。
ICOで資金調達する方法
仮想通貨は現物通貨を発行しないインターネット上にのみ発行する通貨です。
ICOはポイントプログラムの応用や企業独自の商品券に近い特性を持っています。
会社がICOで独自の仮想通貨を発行し、その仮想通貨を使えば自社サービスを有利に行えるような特典を付けます。
既存顧客がお得に利用するために仮想通貨を購入する需要があるほか、仮想通貨は取引所で現金や他の仮想通貨とも交換できるので、将来性に魅力を感じて値上がり後の売却を狙う投資家が買う需要もあります。
仮想通貨ブームで、価値の低い仮想通貨を知識がない中で買う需要が高まり、中小企業の資金調達としてプチブームが起こりました。
既存のプラットフォームを使えばICOする費用や開発費と維持費は安く、調達資金の大半は自由に使える事業資金になります。
株式のように持ち分に応じて議決権を持つこともないですし、投資家から配当を出すように求められることもありません。
資金調達を目的にする企業側から見れば、非常に効率が良くてリスクの低い資金調達法です。
ただし、メリットや将来性を投資家にしっかり伝えないと誰も買ってくれません。
ホームページなど顧客のみに配信するのではなくSNSやブログ、掲示板などを活用して不特定多数の人に投資価値を感じてもらうようにアピールしないといけません。
LoopXによる5億円の詐欺事件
2018年1月にICOしたLoopXは約5億円(450万ドル)の資金を集め、2月に行方をくらませる詐欺をして業界に大きな衝撃を与えました。
同社は投資プラットフォームによって裏金を作り還元することを約束して、投資家を集めていました。
運用した結果ダメだったのではなくICOの翌月に逃げたので、当初から集めたお金を持って逃げる詐欺目的だった可能性が高いです。
ホワイトペッパーには、毎週10%の利益を出し通過保有者に還元する内容で、驚異的な高配当に魅力を感じて被害者が増えた形です。
大きなニュースになったので、現在は資金調達目的のICOでは、信用力や仮想通貨としての安全性を重視されるように変わってきました。
独自に魅力的な暗号を開発できるのでればICOを目指す価値がありますが、ICOで簡単にITや仮想通貨とは関係ない会社が資金調達できるものではありません。
詐欺事件の影響でオンラインサービスを提供する仮想通貨との相性が良い業種でも、ICOで資金調達するのが難しくなってきています。